これからしばらく学習すること、その方法について書いていこうと思います。
認知心理学や行動心理学などの観点から、また予備校講師や有名どころの「受験のカリスマ」的な人物、学校教育の現場に身を置いていた人々、さらには野口悠紀雄氏など(何といえばいいのだろう?知識人というべきか?)にいたるまで、さまざまな人たちが、様々な立場から効果的な学習方法について本を書いています。
それぞれに何かしら気がつかされるものがあり、納得させられるものがあると同時に、納得のいかないこと、間違っているとすら思えることまであります。
なかでも
市川伸一氏の『勉強法が変わる本』は岩波ジュニア新書という手軽さもあり、一読してみて欲しい本です。認知心理学の立場から「学習観の転換」をはかりつつ、学習することとその方法論について具体的に(それこそ身につまされるくらい具体的に)書かれています。読むとはっとすることが必ずあります。
できれば1、2年生のうちに読むことができると良いと思います。
受験に向けて学習量を一気に増やすことはできる。けれども、その「質」がともなわなければ
学習の量的増大が学力のアップにストレートにつながっていかないからです。このことを様々な局面で痛感しています。個々に理由・原因は違うけれど、勉強量が増えても簡単に成果にならないことは少なくないのです。
また、学習とその方法、あるいは<質>については、私たちはもとより生徒のひとり一人が、君たち自身が自分のあり方を考え直してみないといけないことだからです。
私たち講師の側から見えることと、生徒が自分で感じることはやはり違うのです。
私たちは、外側に表現された何ものかによって生徒の学力や進み方、どういう論理と感覚がひとり一人の生徒の内部で働いているのかを捉えようとします。けれどもそうして捉えられるものは想像力の産物でもあります。一歩一歩生徒の内部に降りていくような感覚です。時には「言語」という問題にまで行き当たることもあります。けれど大間違いのことだってあるでしょうし、全く認識が甘い、ということもあるだろうと思います。
だから、同時に、君たちにやはり自分の内部を探索して欲しいのです。
君たちが感じ、捉えた自分の姿と講師が捉えた姿とが一致するならば、その時、指導は非常に強力な力になると思う。けれど、そこがずれているならば、どうしても不合理なものが生まれてきます。
君たちがつかんだ自分のあり方が正しい場合もあるし、逆に、君たちが気がついていないことを講師が気づくこともある。
それらが一つに合わさっていくとき、何かの扉が開くように勉強したことが、そのままストレートに学力につながっていき、目を見張るようなのび方をしたりもします。逆に全くかみ合わないとちぐはぐなまま時間と労力だけが投入されていくことにもなりかねない。
だから生徒ひとり一人が、君にたち自身がいろんなことを考えて欲しいのです。
これから書き始めることは、そのための材料でもあります。
そしてこれはいままでの経験や本から学んだことだけではなくて、日々の指導の現場で直面し、格闘してきたことを背後にもっています。耳が痛いこともあるだろうと思う。けれど、読んでみてください。自分のことを思い描きながら読んでみて欲しいのです。
答えを出そうとして書くことはしません。
これが絶対などということはないのです。例えば私は浪人時代の1年間に1ページもノートというものを作りませんでした。6月半ば以降、一切の予備校の授業に出ませんでした。かなり確信犯的にノートは作らず、授業は出なかった。ひとりで黙々と参考書と問題集だけを相手に勉強していました。逆にしっかりと授業をうけ、そのノートを宝物のようにもっていて、ことあるごとにそこに立ち返るようにして勉強してきた講師もいます。また私は特に数学や物理にかんして同じ問題を何度も解きなおしたりはしませんでした。問題集も1回転するかしないかでした。けれど逆に同じ問題集を2,3回転して力を蓄えていく人もいます。たぶんその方が多いし真っ当な方法だと思います。私も生徒には基本的にそうさせます。
だからこれが正解などと私はいえないのです。またその<正解>があるから、それを書こうなどとも思わないのです。
もしこれを読んで、
何か正解があるとすれば、君たちが自分たちの学習についての考え方と、その方法について『考え始めること」なのだと思います。
自分の道は自分で切り開くほかありません。私たちはサポートすること以上のことはできません。
だから
<これが自分にとっての正解の学習方法なんだ!>というものも、最終的には自分自身で見つけ出し、そこに確信を持つ以外にないのです。けれど、その確信を持つためには、自分の方法、自分のスタイルを作り上げるためには、いろいろ試行錯誤し、考え、また試してみる。そうする他にないのだと思います。
とはいえ、まちがいなくダメな方法だよということはあるけれどね。
一緒に考えてみてください。ここの煮つめ方は今後に大きく影響する。これはとりあえずまちがいないと思うよ。
(髙木)
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