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学習することとはどういうことか考えてみよう。
例えば数学の問題を解く。解けることもあるし、解けないこともある。
さて、質問。勉強は問題が解けるようになるためにするのだろうか? どう思いますか?
そうだという人もいるし、違うという人もいる。実はここには<学習することってどういうことなのだろう?>という「学習観」についての大きな違いが孕まれています。そしてこの<学習観>が学習とその成果にかなり強く影響を与えていると考えている人たちがいます。例えば東大で教育学を研究されている市川伸一さんは『勉強方法が変わる本-心理学からのアドバイス』(岩波ジュニア新書)という本を書いています。
彼は東大の研究者ですが、現場の生徒のことを知らないわけではありません。実際に研究の一環としてですが、学習アドバイスやカウンセリングを行っています。たくさんの生徒と話をし、学校の先生たちと情報交換し、そうした中で上記の本を書きました。
勉強のやり方、その考え方は人それぞれ違います。そんなこと、考えたこともないという人も、漠然としたものであっても必ず何かの考え方に立って何かの方法を採用しています。であれば、その本になる考え方と方法を見直すことは学習することにおいてとても大切なことです。それは自分自身を客観的に把握し直すことでもあります。
少し長いですが内容を少し紹介します。
実はこの文章の実践的な結論は、自分の勉強のあり方全体をたえず見直し、考えようということです。そしてその素材として市川さんの本(あるいはそれ以外のものも含めて)を読んでみませんか、ということです。ですから読もうと思っている人はここから先はもう必要ありません。
『勉強方法が変わる本』は「第1章 学習観を見直す」から始まります。その扉にこういう言葉が書かれています。
「『学習観』というのは、あまり聞いたことのない言葉だと思う。『学習とはどんな仕組みで起こるのか』とか『どのように勉強すると良いのか』というような、学習に対する考え方のことだ。
学習の仕組みを科学的な方法で研究するのは心理学などの役割である。しかし一方、どんな人でも、自分なりの学習観をもっていて、それに基づいた勉強方法をとっているはずである。それだけに、偏った学習観をもっていると、勉強してもさっぱり身につかないということが起こる。
じつは、この本全体が、君たち自身の学習観を見つめ直すための材料なのである。この章ではとくに、しばしば陥りがちな学習観とはどのようなものか、ざっと眺めてみることにしよう」
以下、目次を見てみましょう。あんまり細かすぎるといけないだろうから、適当に割愛します。
第1章 学習観を見直す
① 勉強方法の問題点を探る
1. 平方メートルは何平方センチメートルか
2. 言葉の定義にたちかえって考える
3. 手を動かしながら、頭を使う
② 学習のしかたに目を向ける
1. 失敗から学習のしかたそのものを見直す
2. 「やるっきゃない」と誤解されている御三家-漢字、計算、英単語
③ 学習の背後にある学習観
第2章 記憶する
① 英単語の学習の工夫から
1. あやふやな単語に時間を配分する-苦手単語集中法
2. 単語のイメージと使い方を知る-例文利用法
3. 単語どうしの関係をつかむ-関連づけ法
4. 構成要素から単語を理解する-構成要素法
② 記憶理論からみた勉強法
③ 記憶のモデルを考える
第3章 理解する
① 用語が理解できないのはなぜか
1. 日常モードと学問モードの言葉の習得
2. 定義と具体例をセットで学ぶ
3. 人に説明できるかどうかで自分の理解度をチェックする
② 図、公式、手続きの理解のために
1. 知覚像と写真像の違い
2. 公式をどう見るか
3. 手続きへの慣れと意味の理解のバランス
③ 文章を理解する
1. 文章理解には知識と推論が必要
2. 情報を取り込む枠組み
3. 英文解釈でも知識と文脈を使って推論する
4. 英文解釈における推論の具体例
第4章 問題を解く
① 問題を解くときの心の中
1. 公式を暗記するだけではもちろん解けるようにならない
2. ひとまず例題にチャレンジしてみよう
3. 問題解決に必要な知識と技能
② 「数学=暗記」説はほんとうか
1. 「数学は、解法の暗記だ」という説
2. 正統派は「自力解決」を主張して反撃
3. 解法暗記派と自力解決派の目標の違い
4. 認知心理学から見た折り合いのつけ方
③ 見おとされがちな勉強のしかた
1. 問題を解いていくだけでは学力がつかない
2. 問題を解くまえに-解説と例題を見る
3. 問題を解いた後に-教訓を引き出す
第5章 文章を書く
かなり長くなりました。
けれども、どうですか? ざっとみて何だか身につまされるような内容が盛り込まれていると思いませんか? あるいは日頃、私から、あるいは講師からいわれているようなフレーズが目に飛び込んできませんか?
そう思ったら本を買ってきて読んでみよう。
(高木)