センター試験まで残り80日ほど。現役生は冬休みなどを含めても、おそらく1日平均で8から9時間くらいの学習時間だろうと思う。では多めに見ても残りは720時間。これが多いか少ないか、その「見方」は様々にできるとしても、物理的に一つの限界があることは明白だ。
たとえばある生徒は入試までに英語に投入できる時間が200時間だとかいうことがはっきり見えてきてしまう。長文を読む、英文解釈をする、単語を覚える、2次に向けた和訳のトレーニング、英訳のトレーニンをする、センターを睨んで速度を上げる…そうしたことに費やせる時間がほぼ計算可能になってくる。たとえば長文に投入できる時間は100時間、とか。であれば何問できるのか、見えてきてしまう。そうした時期にさしかかっている。
問題はその使い方だ。ここからはロストした時間はもうほとんどリカバリーできない。回り道もできない。狙いすましてゴールまでの道を進む。
まずはゴールを見据えること。過去問を説いて、ゴールと自分の現在地の距離をはかること。そして80日でその距離を埋める道筋が見えたら、相当に頑張れる。その道が見えないなかではやはり挫けてしまう。
道筋はしかし科学的にはっきりと確定するようなものではない。ある種のイマジネーションだ。こうした闘いは、そのイマジネーションがある限り、前にすすめる。
けれど、イマジネーションは降って湧いてくるわけではない。必死に目を凝らし、隠された道を見つけ出そうとする人にしか見えない。ダメだダメだとばかり言っているとそれは見えない。まぁ何とかなるだろうとぼんやりと思っていても、見えない。そのどちらも結局のところ80日後、あるいはその後に確実に存在している実際の壁をまっすぐに見ないという点で同じだ。弱点がとても大きなものに見えたりする。けれども冷静に考えたらその弱点は合否にそれほど直結しているわけではないことも多い。逆に、もうほぼ95点くらいは取れる状態の数学をどれほど磨き上げようと、大して点数は上がらない。それも「合格」につながる勉強は言えない。
そうしたある種のブレを抑えこみ、冷徹に現実をみるのは、時に苦しい。けれど、それをやり切ることが「力」でもあるように思う。合格した受験生たちは、やはり自分の状況とゴールまでの距離と道筋をかなり冷静に捉えていたように思う。そして悲観もせず、楽観もせず、やるべきことをやりきっていく。そのためには、まず「ゴール」を見定めることだと思う。見定める勇気と力を持つことだと思う。
(1) ゴールが見えるまで過去問を解いて分析する。ポイントはその大学のレベルだけではなくて、自分のレベルもあわせて分析する。問題は自分と相手との距離なのだから。
(2) 総時間を意識した学習プランを最終的にはっきりさせる。80日後を睨んで、この1時間に何をするのか。そこまで詰めていくこと。自分で。お仕着せのプランではなく、自分の肌で感じ取れるプランじゃないといけない。そうしたとき、この1時間が80日のゴールラインへの一歩としてしっかりとつながりのあるものに鳴る。
(3) 配点をはっきり意識する。各科目ごとにどのくらいの点数を取るのか、取りたい点数と取らなくてはいけない点数の両方をはっきりさせておくこと。
(4) 日常的なルーティーンを絶対に崩さないこと。単語や基幹的な科目は毎日やること。
調子を崩すときもある。たぶん、これからの日数の中で1度か2度くらいはある。その時、どん底まで落ち込んでいくケースは、大抵このルーティーンワークが崩れる時だ。
必死になっている受験生にとって、ある意味で最もストレスになるのは、勉強をサボった時だ。模試で失敗した時よりも、サボった時のほうが何か凹み方が大きいような気がする。精神的に凹んでいる時でも、必死にこの日常的なシステムを崩さないように踏みとどまれば、どん底まで落ち込まないで復活してくる。けれどこれが崩れると調子を崩す→勉強が滞る→さらに凹むというようなスパイラルが始まる。ここには絶対落ちおまないこと。
(5) 調子を崩したら、とりあえず復習を軸にするか、あるいは基本的な問題をやること。解ける、という感覚を取り戻すとかなり違う。まぁ調子がわるい時に強敵とは戦わないこと。あるいはそうした問題を組み合わせてもいい。じゃないと「とける」という感覚が鈍るし、完答して解答をかき上げるということの経験の蓄積ができない。
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